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スピードマスター |
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Ω スピードマスターとは Speedmaster
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腕時計としてのクロノグラフを、初めてオメガが製造したのは1913年。
それは直径約40mmの懐中時計ムーブメントを流用し、15分の積算計を装備していた。1932年にはオメガを中心とする「SSIH(スイス時計工業組合)」のメンバーであるレマニアが開発したオメガ初の本格腕時計クロノグラフ「Cal.289 CHRO」が誕生する。これらの経験と技術を継承し、
1942年「Cal.27CHRO 12C(Cal.321)」が誕生した。これは初の3インダイアル(スモールセコンド、30分と12時間の積算計)装備のクロノグラフである。
このムーブメントは1942年から製品に搭載され、さまざまなモデルが発売される。そしてついに1957年、このムーブメントを搭載し、頑固なステンレスケースを持つ近代的なクロノグラフ「スピードマスター」が誕生した。
斬新なデザインで登場したスピードマスターは、早くも2年後にはマイナーチェンジを受ける。ステンレス・ベゼルは黒地に白抜き印刷のアルミニウムにプッシュボタンには防水性向上のため0リング入りに、ブロードアロー・ハンドはすっきりしたアルファ・ハンドに、それぞれ変更された。
この頃、アメリカ航空宇宙局(以下NASA)では、ジェミニカ計画に使用すべき公式時計の選定を始めていた。1961年のある日、テキサスの時計店「コリンガンズ」にて、NASAの装備担当者が数社のクロノグラフを購入。その中の1個がスピードマスターであり、NASAは、これらの時計を宇宙飛行士の腕に嵌めてテストを開始した。
最初にスピードマスターを宇宙に持ち出したのは、1962年10月、マーキュリー計画のシグマ7で地球を6週したウォルター・シラーである。このとき、シラーが装着したのはスピードマスターのセカンドモデル。
次に宇宙に飛んだスピードマスターはゴードン・クーパーの腕にあった。クーパーはこのとき、スピードマスターとブローバのアキュトロン・アストロノートを装着したという。また、1962年5月には、オーロラ7でスコット・カーペンターがブライトリングのナビタイマー・コスモノート(24時間計)を着用。これらの時計は、宇宙飛行士が購入したものとなっているが、どうやらNASAは、腕時計のフィールド・テストを、これらのミッションを通して行っていたようだ。
やがて候補を絞り込んだNASAは、ニューヨークにあるオメガの代理店ノーマン・M・モーリスを通して一通の見積書をオメガに送る。1964年9月29日の日付があるその見積もり依頼書には「添付した明細書に適合する高精度クロノグラフ12個 バンドなし」の納入価格を記入する空欄があり、購入目的は「テスト及び評価」とあった。これに対しスピードマスターを1個$82.50、合計$990.00で販売すると回答した。
オメガはNASAにクロノグラフを送った翌年、約2週間後にジェミニ3号の打ち上げを控えた3月1日に結果が出た。結局、テストを受けた時計はオメガを含め3社であり、スピードマスターはあるテストで誤差を生じたが、唯一、最終テストまで生き残る。こうしてオメガは、NASAの公式時計に採用され、1969年にはアポロ11号による人類初の月面着陸に同行し、”ムーンウォッチ”という名と共に歴史に刻まれることになったのである。
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