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デ・ビル |
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Ω デ・ビルとは De Ville
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第2次世界大戦後、新しい時代に即した腕時計の条件は、防水、自動巻き、日付表示だった。
これらを完備するスイス時計は、世界中で好調なセールスを記録する。だが、スイス時計の大量消費地であるアメリカ経済が更なる発展を遂げ、欧州や日本が戦後復航したとき、もうひとつの欲求が提示される。それが「薄型化」であった。
1948年に誕生したオメガの「シーマスター」は、自動巻きムーブメントを納めて防水性を確保するためケースは相応に厚かった。しかし1950年代後半から高まってきた薄型の要求に応え、オメガは十分な防水性を持つ新しい薄型ケースを採用する。それが1960年に登場した裏蓋のないワンピース・ケースに文字盤側からムーブメントを封入する。”モノコック構造”(「Monocoque」の「Mono」は「単一の」、「Coque」は「殻」を意味する仏語)を採用した「シーマスター デ・ビル」である。
”De Ville”とは ”都会”という意味の仏語。「シーマスター デ・ビル」はそのとおり、都会的なセンスを持つエレガントなうす時計として大成功を納めたのだ。
だが当初、「デ・ビル」の名は時計に明示されていなかった。
これに対してオメガのアメリカ代理店ノーマン・モ-リスからの要望に応えてオメガは1963年、文字盤に「デ・ビル」の名を入れ、1967年にはシーマスターから離れ、新ラインとして独り立ちを果たす。
やがて、デ・ビルはラウンド、スクエア、クッションなど、多彩なスタイルを展開した。
また著名ジュエリー・でざいんなーとのコラボレーションによる華麗な宝飾モデルをも開発し、腕時計におけるデザインの可能性を追求する。それは1960年代末から1970年代にかけてのグラマラスなファッションとシンクロし、高い評価を得た。
ところが1944年、オメガは、全く新しい”デ・ビル”を発表する。それが、「デ・ビル プレステージ」である。この新ラインにはシーマスター デ・ビル3つのモデルがあった。
手巻きのスモールセコンド、自動巻きの日付表示付きセンターセコンド、そしてクロノグラフである。興味深いのは手巻きのスモールセコンド・モデル。これは、ベゼル、ケース、裏蓋というスリーピース構造のベーシックなオメガの伝統に則った手巻きムーブメント「Cal.651」を搭載するものだったが
、何よりこの時代にスモールセコンドの手巻きムーブメントというのは大胆な選択だ。しかも新作の全てに”De
Ville”という表記は見あたらない。まさにオメガの百数十年に渡る時計作りを継承する新ラインとして「デ・ビル プレステージ」は位置づけられた。
このコンセプトは1998年、創立150年記念モデル「デ・ビル ”1848”」の登場で、さらに明確となる。このモデルは、それまでのデ・ビル、すなわち薄型時計のイメージを180度覆すものだった。
がっちりした太いラグを持つ肉厚なケースは、同じ年に発表されたセンタートゥールビヨンと共通し、その原型は1950年代のコンステレーション、あるいは1956年に登場したシーマスターのオリンピック功労賞受賞記念モデル「シーマスターXVI」に求められる。12角型ダイアルは、やはりコンステレーションからの引用であり、そこに配置される立体的なアワーマーカーと数字インデックスは「シーマスターXVI」の影響が強い。
さらに翌年、デ・ビルは全く新しい次元へとステップアップする。その象徴が英国の時計師ジョージ・ダニエルズ博士が考案した「コーアクシャル脱進機」を搭載する「デ・ビル
コーアクシャル」である。
2枚のガンギ車を同軸(コーアクシャル)に装備し、振り座上の振り石と3つのツメ石を持つアンクルで制御するコーアクシャル脱進機。緩急針をもたないフリースプラング・テンプ(自由振動テンプ)と共に用いられる、この画期的な奪進機は、作動時のショックが少なく、極めて摩擦が少ないため長期間に渡って安定した高い精度を確保することが出来る。このコーアクシャル脱進機の登場で200年以上も変わらなかった脱進機に一台革命が起きたのである。
その後、2005年には大胆な角型ケースを持つ「デ・ビル コーアクシャル クロノメーターX2」が登場した。
2007年、久々の自社開発ムーブメントを搭載する新作が誕生した。デ・ビルは今再び、新たな進化を遂げたのである。
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